地元・福井を舞台に「アニメのワンシーン」のような光景を撮影するAkine Cocoさん(@akinecoco987)に、愛用のレンズとそのレンズを使う理由をおうかがいしました。
記事の終わりにスマホ用壁紙プレゼントのお知らせもあるので、ぜひ最後までご覧ください。
こんにちは、Akine Cocoです。NICO STOPではこれまで、田園風景の撮り方や地元・福井で感じた季節感をフォトレターとしてお届けしてきました。
その中で、およそ1年にわたって使い続けてきたNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRが私の愛用レンズです。存在を一言で言うと「何でも撮れる万能君」。軽くて幅広い画角をカバーできるので、地元の風景をスナップするときは、この1本が一緒なら大丈夫という安心感があります。




今回は、このレンズの使いこなしのポイントや描写の魅力を、写真とともにお届けします。これまでの記事には登場していない写真や、画づくりのコツも紹介しているので、見ていただけるとうれしいです。
風景スナップにぴったりな5つの理由
私がNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRを風景スナップで愛用する理由は、「画角」「解像力」「ボケ味」「逆光」「操作性」の5つです。
【画角】広角から望遠までカバーできる
まず、一番のポイントは24~200mmの焦点距離です。一般的に都市のスナップは24~70mm程度のズームレンズを使う方が多いと思いますが、田舎の風景では200mmの望遠で新しい魅力を探すのも楽しいです。ここでは、広角端と望遠端の画角が活躍するシーンと、撮り方のコツを解説します。
24mmで風景の広大さを表現する
私が住んでいる地域は、田園に囲まれ自然豊かで、高い建物がないので空がとても広いです。広角端24mmは、目の前の風景の奥行きやスケールの大きさを表現するために使用します。
上の写真は、雲間から溢れる美しい朝の光と、薄く雪が積もった道に延びるタイヤの跡に注目して撮影したものです。焦点距離24mmのパース効果を生かして放射線構図で撮ると、道がどこまでも続いているような広大さと臨場感のある風景に。深呼吸をしたくなるような清々しさも表現できます。また、広角特有の歪みも気にならず、地平線をまっすぐ写せるところも魅力です。
70mm以上で被写体を引き寄せて強調する
70mm以上の望遠は、広い風景の一部を引き寄せて強調する効果があります。このとき、大きさの比較になる被写体を一緒にフレーミングするのがポイント。よりスケール感の伝わる写真になります。
特に、大きな雲を切り取る際に効果的です。主役の雲を焦点距離80mm程度で引き寄せて、山や建物と一緒に写すと、雲の大きさと相まって地上の風景がミニチュアのようにかわいらしく感じられます。
200mmで風景の新しい魅力を発見
望遠端200mmで風景を切り取ると、普段は見落としてしまうような、植物の表情や足元の景色にも気づくことができます。


左の写真は、たそがれているようなコスモスの後ろ姿に惹かれて撮影したものです。望遠端にして、夕日とコスモスのサイズ感がちょうどよくなるところまで立ち位置を移動して撮りました。
右の写真は、1枚で流れていく落ち葉に切なさを感じてシャッターを切りました。望遠端で引き寄せると、水に反射する光のきらめきや木の影による陰影が際立ち、何気ないシーンがドラマチックに感じます。
また、私の作風の一つであるミニマル写真も200mmほどの望遠で撮影します。ポイントは“日常の中にある非現実”に注目して、200mmの狭い画角で情報量をできるだけ減らすことです。
上の写真は、田園風景の中で存在感を放つコンクリートブロック。ブロックの規則性と田んぼの緑とのコントラストを生かすために、望遠端200mmで余分な背景をなるべく省きました。
【解像力】隅々までくっきり描ける安心感
高倍率ズームレンズは画質がよくない印象を持っている方もいると思いますが、このレンズは広角から望遠まで写りに解像感があるので、どんなシーンでも安心して使えます。
特に驚いたのは広角で撮影した際に、画面の隅までしっかりと描写してくれるところです。地上の車や建物はシャープに、雲はもくもくとした立体感が感じられます。
望遠も手前から奥まで解像感があり、被写体の輪郭を鮮明に写し出します。夕日に照らされた電線や家の屋根、奥の山に立ち並ぶ木々まで写っていて、画面を拡大するとうれしくなりました。
【ボケ味】ほどよいボケ味で空気感を表現する
このレンズのボケ感は、やわらかさのある自然な描写が印象的です。大きくぼかすというよりも、被写体の雰囲気を残しながらその場の空気感を表現するのにちょうどいいと感じました。
風景はパンフォーカスで撮ることが多いですが、情緒的に表現したいシーンではボケを使います。
上の写真は、桜並木を歩いていく人にピントを合わせて撮影しました。手前の木の存在感は残しつつ、舞い散る桜がふわっと心地よくボケて、春の陽気と物語のワンシーンのような雰囲気が感じられます。
こちらは背景に菜の花や桜の花などを入れて大きくぼかし、春の彩りを詰めこむイメージで撮りました。ほわほわとした玉ボケが、やわらかく軽やかな桜の魅力を引き出しています。背景の色と色が重なる部分の、にじむような描写も気に入りました。
【逆光】逆光状態でもメリハリのある描写
被写体や風景のきらめきを表現できる逆光が好きで、特に朝日や夕日は積極的に取り入れています。
このレンズはアルネオコートというコーティングのおかげで、画角に太陽を入れてもフレアやゴーストが気にならず、見せたい部分をくっきりと写してくれるので心強いです。
夕日に重ねたススキの穂は繊細に、茎の部分は浮かび上がるように描写されていて、逆光耐性を実感した1枚です。フルサイズのZ 6との組み合わせで階調がなめらかに表現でき、白とび・黒つぶれもなく、夕景を美しく残すことができました。
【操作性】なめらかなズームリングの動きが心地いい
風景スナップでは、長時間持ち歩いたり突然のシャッターチャンスに反応する必要があるため、機材の操作性がとても重要です。このレンズは持った瞬間、高倍率ズームレンズとは思えない軽さに驚きました。
また、一番惹かれたポイントは、手になじむようなズームリングのなめらかな動きです。ズームアップする際にもスッと操作できました。
田舎の風景はのどかであまり動きがなく、それが魅力でもあるのですが、アクセントをつけたいときには鳥や車などを探して画面に入れます。構図を考えながら、動く被写体がいい位置に来たタイミングを狙うのですが、ズームリングの動きがスムーズなのでストレスなく撮影できました。
また、手持ち撮影なので手ブレ補正もうれしいポイントです。特に、ミニマル写真は200mmほどの望遠で手ブレしやすい状況ですが、このレンズならブレを気にせずに画づくりに集中できます。
もう一つ大切な田園風景の“色再現”
Zのカメラとの組み合わせで、撮って出しの緑が好みの色味になる点も印象的です。
Z 5、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
左:編集前、右:編集後
どこか温かみのある深い色合いが、私が田舎の風景に抱く印象にマッチしているので、編集ではそれを生かすように調整しています。緑色の豊かな発色で風景に立体感が生まれ、その場の風や香りまで感じる仕上がりになりました。
レンズの描写・性能を生かした撮影のコツ
ここからは特にお気に入りの四季の写真で、レンズの魅力を生かした季節感のとらえ方を紹介します。
【春】桜との出会いをミニマルに切り取る
春といえばやっぱり桜。身近に桜の木が1本しかなくても、望遠端200mmで青空を背景にしてミニマルに切り取れば、ひとあじ違う春の表現が可能です。さらに、鳥や飛行機などと組み合わせれば、動きと物語性がプラスされます。
上の写真は、桜の撮影中に飛行機を見つけ、あえて桜を前ボケにして飛行機との出会いをテーマに撮りました。ほどよいボケ味と200mmによる大胆な切り取り、スムーズなズーミングが可能なこのレンズだから撮れた1枚です。
【夏】豊かな緑と懐かしい被写体を取り入れる
青い空と白い雲、生き生きとした緑を画面に入れると、風景が一気に夏らしい印象に。このカメラとレンズならではの緑色の豊かさが、自然に囲まれた田舎の風景の魅力をより引き出してくれます。
上の写真は、空と田園のきれいな色、趣き深い建物のかわいらしさに惹かれて撮影したものです。家と山並みを中心に、空と田園が同じ割合になるように構図を整え、セミの声だけが響くのどかな田舎の夏を表現しました。
【秋】焦点距離200mmで風景の要素を凝縮する
ススキ・トラック・橋の3要素を焦点距離200mmで凝縮することで、秋の河川敷で出会った日常の一コマを表現しました。ススキは、前ボケにしながら少しシャッタースピードを遅め(このときは1/100秒)に設定して動きをぶらすことで、風に揺れる音まで感じられます。
【冬】ふんわりとしたボケで空気感を表現する
雪景色では、暖色の光を探してやわらかくぼかすと、冬の寒さの中で感じる暖かさを表現できます。
上の写真は、雪に降られながら歩いた帰り道で撮影しました。防塵防滴に配慮されたレンズ設計のため、このような天候でも気軽にカメラを構えられます。
F6で道の雰囲気を残しつつオレンジ色の明かりをふんわりとぼかし、望遠の圧縮効果で道を引き寄せて「もうすぐ家につく」とホッとした気持ちを表現しました。
Photographer's Note
矢印をタップすると写真が変わります。(すべてNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRで撮影)
カメラを手に身軽に出歩くことが好きな私にとって、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRはとてもいい相棒です。信頼できる描写力、驚くほどの軽さ、心地よい操作性で撮りたい瞬間をしっかり残すことができ、自由な表現を引き出してくれます。
「写真をはじめたいけど、どのレンズを買っていいか分からない」という方は、このレンズを候補の一つにしてはいかがでしょうか?
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Akine Cocoさんが愛用レンズで撮影した記事一覧
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Akine Coco
福井県在住のフォトグラファー。身近な風景を「アニメのワンシーン」のようにとらえた作品をTwitterで発表している。どこか懐かしく、物語を感じる情景は、国内のみならず海外での人気も高い。