こんにちは、小春ハルカ(@86ca86)です。普段は、身近に感じる「心動かされる瞬間」を撮影しています。特に四季の美しさを実感できる「花」が好きです。
突然ですが、みなさんは「花手水(はなちょうず)」ってご存じですか?
神社やお寺で手水舎の鉢に花が浮かべられたものですが、はじめて見たときに季節の花々の華やかさにとても感動しました!
今回はこの花手水の撮り方のポイントやオススメのスポット、そして自宅で楽しむ「手作り花手水」を紹介したいと思います。
- 花手水とは?
- 花手水の撮り方の基本ポイント
- 花手水の特徴を生かす撮り方
- 花手水撮影に適した機材・設定
- オススメの花手水スポット6選
- 自宅で「手作り花手水」を楽しもう!
- Photographer's Note
花手水とは?
神社やお寺には、参拝者が手・口などを清めるための「手水舎」がありますが、この手水鉢に花を浮かべたものが「花手水(はなちょうず)」と呼ばれています。特にコロナ禍で、感染予防のために手水舎の利用を中止したことをきっかけに、花手水を置くところが増えたように感じます。
6月頃から夏に置かれるところが多いですが、季節に合わせて花を入れ替えているところもあり、四季それぞれ楽しめるのも魅力です。
私はSNSで見かけて「こんなものがあるんだ」と興味を持ったのですが、実際に花手水を見に行くと、さまざまな花の華麗に漂う姿がとても美しくて…! 花手水のおかげで、神社やお寺めぐりがさらに楽しくなりました。
花手水の撮り方の基本ポイント
まずは、花手水を撮る際に押さえておきたい基本ポイントからです。
寄って、画角いっぱいに花を収める
花手水は、左の写真のように境内にある鉢の中に花が浮かんでいます。華やかに写すには、画角いっぱいに花が収まるように寄って撮るのがポイントです。
その場所の雰囲気も生かすなら引きも◎
こちらは、緑に囲まれている場所の様子が素敵だったので引きで撮影しました。青モミジを前ボケにし、緑の要素を多く取り入れることで、引きからでも花手水が引き立つようにしています。
上から見下ろして撮ることで華やかに
水面に浮かぶ花は平面的なので、真上から見下ろして撮ると、パッと花々の美しさや華やかさが引き立ちます。
花の高さに違いがある場合は低いアングルも◎
ところどころ高さがあったり、花の形が縦に長いものなどは、横からのアングルで見るのも美しいです。このとき、手前をぼかすことで、見せたい花が際立ちます。
花手水の特徴を生かす撮り方
主題や構図を決める際、花手水の特徴を生かすことで、魅力をより引き出すことができます。
画角は、端に写る花のバランスを意識
花手水はどこを切り取ってもきれいだからこそ、どう撮るか迷ってしまいがちです。まずは、主役にしたい花を決めて、その花を軸にどこまで写すかを考えましょう。
このとき、四隅や端に写る花びらにも意識をめぐらせます。上の写真では、二つのバラを主役にし、端にもバラの花びらが見切れるようにしました。見切れることで、写っていない部分も想像でき広がりを感じられます。
大きな花がある場合、それを中央に配置すると窮屈な印象になります。大きな花は端で見切らせることで、華やかさを生かしながら全体のバランスがとれます。
上の写真では薄紫色の4つの花を主題に、大きな花を対角線上の隅に見切らせ、主題を際立たせました。
鉢の形状や模様を生かす
神社やお寺によって、鉢の形状や模様はさまざまで、こだわりを感じられます。ぜひ鉢も取り入れた写真を撮ってみてください。
上の写真は、四角い鉢だったので、縁を入れて引き締まった印象にしました。
こちらは鉢の模様が印象的でした。花本来の美しさに加えて、さらに華やかになるよう、模様の緑部分と花のバランスを意識しています。
「水」に注目する
水に浮かべる花手水は「水」も重要な要素です。水面や水滴などにも目を向けてみましょう。
上の写真では、花と花の隙間があるところの水面に着目。逆光気味で、なめらかな水面を写し出しました。
龍の口から出た水を受ける部分にオレンジの花が浮かんでいました。花びらの水滴にピントを合わせることで、瑞々しさを表現しました。
雫が鉢に落ちる瞬間もシャッターチャンスです。シャッタースピードを速く設定し(このときは1/800秒)、連写すると狙いやすくなります。
天気や光で変わる、花手水の雰囲気
屋外に置かれている花手水は、天気や光で雰囲気がガラッと変わります。
晴れた日は上からの光で鮮やかに
左:太陽が高い時間帯、右:太陽が低い時間帯
太陽が高い時間帯は上を向く花に正面から光が当たりパキッと明るく写り、朝や夕方など低い時間帯はやわらかい印象になります。
なお、太陽が低い時間帯は、角度を下げて逆光やサイド光として撮ることで、立体感が出て美しく写ります。
上の写真では、元々の花が淡い印象だったので、その雰囲気を生かせるよう逆光でふんわりと写しました。太陽が低くなるほど光はやわらかくなり、重なり合う花びらの影が優しくなります。
自分の影の写りこみに注意
太陽と立ち位置の関係によっては、花手水に自身の影が落ちてしまう場合もあります。影にならないよう立ち位置に注意しましょう。
くもりや雨はしっとりした雰囲気に
くもりや雨の日は、コントラストが低くやわらかい光のため、しっとりした雰囲気を表現できます。上の写真では中央の白い花を主役に、F1.8で周囲をぼかし、やわらかさを強調しました。
夕方~夜はライトアップで幻想的に
場所によってライトアップをしているところもあり、日中とは異なる世界観が楽しめます。暗いのでISO感度を上げて露出を確保しますが、ライトが当たっている部分が白とびしないように注意しましょう。
混雑を避けて撮りやすい時間帯
有名スポットでは、日中は非常に混雑しており、早朝や夕方などを狙うとじっくり撮影できる可能性が上がります。ライトアップされているところ以外では、日が暮れる前がオススメです。
花手水撮影に適した機材・設定
【機材】可動式モニター付きカメラ+寄れるレンズ
- カメラ:真上から撮ることが多いため、可動式モニター付きで軽量なカメラが◎。私は Z 6IIを愛用していますが、チルト式モニター付きで、グリップ性がよく軽量なので撮影が快適でした。
- レンズ:標準域で、できるだけ寄れるレンズがオススメです。単焦点であれば、限られた空間でもぼかしてやわらかさや華やかさを表現でき、夜の撮影にも力を発揮します。今回は主にNIKKOR Z 35mm f/1.8 Sを使用しました。最短撮影距離が0.25mと非常に短く、近接撮影もできます。
【設定】基本はF5.6程度に絞る
- 撮影モード:絞り優先オートでOK。
- F値:真上から撮る際は全体にピントを合わせるため、F5.6前後とある程度絞ります。少し角度を下げてぼかしたい場合は、F1.8~2.8に設定しています。
左:F5.6、右:F2.8
- シャッタースピード:風で揺れることはほぼないので、手ブレしない設定でOKです。
左:ISO100、右:ISO320
- ISO感度:日当たりがよいところではISO100~200、屋根がある場所や暗い状況下ではISO400を上限目安にしています。
オススメの花手水スポット6選
ここからは、実際に私が撮影した中でオススメのスポットを紹介します。
花手水を実施している場所は、WEB上で調べられますし、各都道府県別にまとめられたサイトもあります。行きたい場所が見つかったら、花の入れ替えなどの情報が公式SNSで発信されているところもあるので、事前にチェックするのが◎。
【群馬・於菊稲荷神社】さまざまなアジサイの共演
- 見どころ:暑い夏を涼しく彩るような、さまざまな種類のアジサイが浮かんでいます。花手水だけでなく、季節の花がたくさん咲いていて四季折々楽しめるのも魅力です。なお、ここを含めた群馬県内の複数の神社では、「花手水めぐり」と呼ばれるイベントが6月末~7月前半に行われ、さまざまな花手水を愛でられます。
- 時期:「花手水めぐり」期間(6月末~7月前半)に加え、春などに実施される場合があります。
※花手水の期間や内容は年によって変更となる場合があります。
この神社では、かわいい狐が花手水の中にちょこんと置かれていました。上の写真では、手前のアジサイをぼかして狐を際立たせています。
於菊稲荷神社
群馬県高崎市新町247
https://okiku-inari.jimdofree.com/
※詳細は、HPや公式SNSをご確認ください。「花手水めぐり」はこちらをご確認ください。注意点:花には手を触れないように、手や口を清める方を優先に、同じ場所を占有しないなど、マナーを守って撮影しましょう。
【群馬・玉村八幡宮】ガーベラがアジサイを引き立てる
- 見どころ:こちらも群馬県内の「花手水めぐり」の一つ。四季を通じて花手水が楽しめるスポットで、季節によって入れ替えられる花々も魅力です。夏の時期に行った際は、たくさんのアジサイの中に、オレンジ色のガーベラがアクセントになっていて、とてもかわいらしかったです。
- 時期:「花手水めぐり」(6月末~7月前半)以外にも、夏シーズンはアジサイが、秋には期間限定の花手水が行われます。
※花手水の期間や内容は年によって変更となる場合があります。
ガーベラについた水滴が瑞々しくてきれいです。青いアジサイをぼかすことで、オレンジ色を引き立たせました。
玉村八幡宮
群馬県佐波郡玉村町下新田1番地
https://top.tamamurahachimangu.net/
※詳細は、HPや公式SNSをご確認ください。「花手水めぐり」はこちらをご確認ください。注意点:花には手を触れないように、手や口を清める方を優先に、同じ場所を占有しないなど、マナーを守って撮影しましょう。
【栃木・あしかがフラワーパーク】テーマごとに変わる花手水の世界観
- 見どころ:テーマの異なる花手水が複数設けられていて、それぞれのテーマをイメージした花手水が飾られています。イルミネーション期間中は、夜になると花手水もライトアップされているので、どの時間帯もオススメです。
- 時期:夏は7月~8月(開催時期は年によって異なります)。秋に行われた年もあります。イルミネーション期間は10月下旬~2月中旬(予定)。
※花手水の期間や内容は年によって変更となる場合があります。
こちらは、青いバラと黄色のガーベラによる花手水。夜空を連想させるような世界観が素敵です。
あしかがフラワーパーク
栃木県足利市迫間町607
https://www.ashikaga.co.jp/
※詳細は、HPや公式SNSをご確認ください。注意点:花には手を触れないように、同じ場所を占有しないなど、マナーを守って撮影しましょう。
【埼玉・最明寺】仲良く鉢が並ぶ「カップル花手水」
- 見どころ:美しい花手水が境内の4~5か所に飾られていて、毎週金曜日に入れ替えが行われるので、いつ訪れても新鮮です。特に人気なのが、正門にある二つの「カップル花手水」。使われている花はほとんど同じですが、色の組み合わせでガラリと印象が変わるのが素敵だと感じました。
- 時期:1年中。こだわりの詰まった花手水が飾られているのでどの時期もオススメです。
※花手水の期間や内容は年によって変更となる場合があります。
花ももちろん素敵ですが、トラのマスコットがかわいらしくて主役にしました。花手水の入れ替えごとにマスコットも変わるそうで、これも楽しみの一つですね!
最明寺
埼玉県川越市小ケ谷61
https://www.saimyouzi.com/
※詳細は、HPや公式SNSをご確認ください。注意点:花には手を触れないように、手や口を清める方を優先に、同じ場所を占有しないなど、マナーを守って撮影しましょう。
【埼玉・川越八幡宮】季節の変化を教えてくれる花手水
- 見どころ:年中飾られていて、季節ごとの花手水が楽しめます。夏は、爽やかな花で彩られた花手水にオレンジ色の夏らしい色の組み合わせ。花手水だけでなく、さまざまな種類の植物も楽しめます。
- 時期:1年中。
※花手水の期間や内容は年によって変更となる場合があります。
手水舎とは別に小さな水鉢にアジサイが浮かんでいました。青い水鉢とアジサイ。見ているだけで涼しくなります。
川越八幡宮
埼玉県川越市南通町19-3
https://www.kawagoe-hachimangu.net/
※詳細は、HPや公式SNSをご確認ください。注意点:花には手を触れないように、手や口を清める方を優先に、同じ場所を占有しないなど、マナーを守って撮影しましょう。
【埼玉・行田八幡神社】地域全体が花手水で彩られる
- 見どころ:2020年春に行田八幡神社ではじめた花手水が地域全体に広がり、現在は「行田花手水week」として、商店や民家の軒先などにも花手水が置かれています。特に行田八幡神社内には複数花手水が飾られ、鉢の形や花のイメージも異なり、見ごたえがあります。
- 時期:毎月1日~14日(11月と1月は15日~末日まで、7月と8月はお休み)の期間限定。
※花手水の期間や内容は年によって変更となる場合があります。
こちらは、商店に置かれた花手水。散策マップを見ながら、場所ごとに工夫された花手水をめぐるのはとても楽しいです!
行田八幡神社
埼玉県行田市行田16-23
https://gyodahachiman.jp/
「行田花手水week」
https://www.gyoda-kankoukyoukai.jp/hanachozu.html
※詳細は、HPや公式SNSをご確認ください。注意点:花には手を触れないように、手や口を清める方を優先に、同じ場所を占有しない、通行を妨げないなど、マナーを守って撮影しましょう。特に行田八幡神社周辺は、道路が狭くなっているので注意が必要です。
自宅で「手作り花手水」を楽しもう!
神社やお寺に置かれている花手水ですが、鉢と花があれば自宅でも楽しめます。
自分の好きな花を浮かべられるので、お花屋さんで選ぶときからワクワク。色や種類の配置を考えながら花を浮かべて、形になっていく過程も楽しいです。
材料は100円ショップでも十分そろいます!
鉢は100円ショップやホームセンターでそろいます。花は生花の他に、100円ショップの造花でもOKです。
花はハサミで茎の付け根から切り、水を張った鉢に浮かべていきます。このとき、花本来の色だけを引き立たせられるように、白い布を引き、背景をシンプルにするのがポイントです。
パッと大きな花の場合、1輪だけ浮かべてみても印象的です。
- オススメの花:ガーベラ、キク、キンセンカ、アスターなど。
部屋で花手水を撮るポイント
部屋で撮影するので、いい光の場所に置いたり、光と影を調整したり、自由度が高いのがいいですよね。
光と影を入れることで透明感を出す
透明な鉢は光を透過し、薄い影が伸び、透明感が出ます。上の写真では、カーテンで両サイドの光をさえぎり、中心に花手水を置いて引き立つようにし、美しく引き締まった印象にしました。
配置や花の組み合わせを変えてバリエーション豊かに
自作の手花水なので、触って好きに配置を変えられるのもポイントです。
メインのガーベラのまわりに小さな花を入れつつ、メインにかなり寄って、ダイナミックに撮影しました。
1輪を浮かべた花手水を並べるのも楽しいです。真っすぐ横に並べたり、斜めにしてリズムをつくったり。かわいらしい写真が撮れます。
LEDライトを下から当ててライトアップ
LEDライトを当てると幻想的な雰囲気になります。上の写真では、スマホのライトを横から当てて、花が立体的に浮かび上がるように撮影しました。
Photographer's Note
花手水の世界、いかがでしたか?
今回は、撮り方に加えてスポットを6か所紹介しましたが、全国にはたくさんの花手水スポットがあります。意識して見ると、身近な神社に素敵な花手水が飾られていることも。そして、同じ場所でも、季節によって変わる花手水を堪能できるのも魅力です。
場所ごとにこだわりやアイデアが詰めこまれていて、そういった特徴を生かして撮影するのはとても楽しく、きっとハマってしまうと思います。ぜひみなさんも、今年は花手水の撮影にチャレンジしてみてください!
私は、水のきらめきを幻想的に表現したり、より花を美しく見せられるように、花手水を撮りに出かけたいと思います。
花手水を撮影する際の注意点
- 花には手を触れないでください。
- 手や口を清める方優先で、長時間占有しないように。
- 神社やお寺のマナーを守りましょう。
- 状況に応じて中止になる場合があるため、各スポットの最新情報をご確認ください。
※こちらに掲載している情報は、2023年5月30日現在のものです。
Supported by L&MARK
小春ハルカ
季節の花や夕焼け空、何気ない田舎の景色など、日々過ごしていく中で身近に感じる「心動かされる瞬間」を撮影。花と風景の淡色世界を表現している。