撮影の基本を解説する『写真家と学ぼう! カメラ初心者ガイド』。今回は「身近な人」の撮り方です。家族や友達と一緒にいる時間を、より素敵に記録するためのポイントを、フォトグラファーのjyota tomonoriさんに教えていただきます。
photo by jyota tomonori
ナツキちゃん
スマホで写真を撮っていたが、「もっと素敵な写真を撮りたい」とカメラを購入。相棒はAPS-Cサイズのミラーレス「Z fc」と単焦点レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)」。モットーは「とりあえずやってみる」。好奇心旺盛で、少しうっかりやさんな女の子。jyota tomonoriさん
カメラと植物をこよなく愛し、彼女との日常を写真に収めている。ウエディングフォトグラファーの経験を生かし、フリーランスフォトグラファーとして活動中。
はじめまして! jyotaさんの写真、いつもSNSで見て素敵だな~って思ってました。
そう言ってもらえて、うれしいなぁ!
私も友達や家族の写真を撮りたいんですけど、コツを知りたいです!
身近な人を撮るときのコツだね。任せて!
撮影に向いているカメラとレンズ
- カメラ:コンパクトなカメラのほうが、撮られる人がカメラを意識しすぎず、カジュアルな雰囲気で撮影できます。また、会話をしながら撮るときには、シャッター音を消せるサイレントモードがあるものが◎。
Z fcはとてもコンパクトなカメラで、サイレントモードも搭載されています。
- レンズ:標準の焦点距離のものが、写りが自然です。開放F値の小さいものは、部屋の中でも露出を確保でき、きれいにぼかせます。また、広角域まで写せるズームレンズがあると、旅先など風景と一緒に撮るときに重宝します。
NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)で、F2.8で撮影
NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRで、16mmで撮影
人を撮るときの設定
ナツキちゃんは普段、どんな設定にしてる?
私は今、ボケにはまってることもあって、AモードでF値をいちばん小さくしています。
人を撮るときも基本はそれでOKなんだけど、状況によってはF値を大きくしたほうがいい場合もあるんだ。
そうなんですね。使いわけって難しそう…。
F値を大きくするときはF4~5.6くらいを目安にするといいよ。F値が大きいほどピントが合う範囲が広がるから、周囲も写したり、被写体が複数人いる場合、歩きながら撮ったりするときにもピントを合わせやすいんだ。
F値とピントが合う範囲の関係
F5.6に設定して風景も一緒に撮影
そういうときにF値を大きくしておけばいいんですね。
ちなみに室内でF値を大きくして撮るときは、明るさ不足にならないようにね。
そういう場合はISO感度を上げればいいんですかね?
そう! 僕はISO400から、上げても1600くらいまでにしてるんだ。
ISO1600で撮影
AモードでF値は最小~5.6くらい、ISO感度は400~1600ぐらいまでですね!
ピント合わせは、AFにお任せでも大丈夫ですか?
Z fcなら、人の瞳や顔に自動で合わせてくれる「瞳AF」があるから、それを使えば安心だよ!
身近な人を自然な雰囲気で撮るコツ
基本の設定ができたら実際に撮影だけど、家族や友達を撮るときにどんなところが難しいかな?
う~ん…。やっぱり、カメラを向けた途端に表情や動きがぎこちなくなってしまうことですね。
たしかに、撮られることに慣れていない人はどうしてもカメラを意識してしまうことが多いよね。そんなときには、おしゃべりをしながら自然に撮影するのがオススメだよ。
上の写真を撮るときは、「この後どこのカフェに行く?」「海がきれいだね!」というふうにね。このとき、カメラのファインダーをのぞいて撮ると相手が緊張してしまうこともあるから、ライブビュー撮影で話をしながら撮るのもポイントだよ。
表情がすごく自然ですね! 撮ることに夢中になってたので、今度から話しかけてみます!
それと、相手が好きなことをしていたり、夢中になってる姿を切り取ると自然体で写しやすいよ。彼女は僕と同じで写真が好きだから、撮影してる姿を収めることも多いんだ。
そういう姿を残すのも素敵ですね!
撮影場所の雰囲気の生かし方
身近な人を撮る場合、近くで撮ることが多いと思うけど、背景によって寄り引きをうまく使いわけできるといいね!
他の人が写りこむ街中や写したくないものが多い部屋なんかだと、寄りにするとぼかしやすくて、主役を引き立たせることができるよ。引きは風景と一緒に写したいときにオススメだね。
旅先とか、風景と一緒に写したいですね!
でも、写る側もどう立ったらいいかわからなくて、いつも直立でピースばかりになっちゃうんですよね…。
そういうときは、できるだけ具体的なイメージを伝えるといいよ。例えば、「この映画の主人公になった気持ちで歩いてみて」とか、「このアニメの世界にいるような雰囲気の表情をしてみて」というように、お互いがわかるものを例にするといいんだ。
なるほど~。そうやって立ってもらうと、自然に風景となじむんですね!
同じ場所でも背景によって印象が変わるから、アングルはいろいろ試してみるといいと思うな。例えば、ローアングルにすると背景を青空にもできるよ。
青空背景、爽やかですね!
…ちなみに、構図でオススメってありますか?
まずは日の丸構図が撮りやすいんじゃないかな。主役も際立たせやすいしね。慣れてきたら、三分割構図とかで背景とのバランスを取れるといいかな!
日の丸と三分割ですね! この2つは私も最近覚えました。
主役の人を左右に寄せる場合には、顔の向きにも注意だね。目線の先に目がいくから、海だったら海を眺めてる目線の先をあけるようにすると、人と風景がなじんだ写真になると思うよ。
目線の先をあけた構図
「目線の先をあける」覚えておきます!
きれいな光の向き・時間帯で撮る
あとはやっぱり光だね。
人を撮るときは、どういう光がいいんですか?
撮りたいイメージ次第だけど、逆光気味で明るく撮るとやわらかい雰囲気になるよ! 太陽や海の反射光の輝きが強い部分の前に人が入るようにすると、髪が透けたり透明感も出るんだ。
逆光で露出を上げて撮影
すごく素敵!
特に、夕暮れはあたたかい光や空の色がきれいだから、意識的にその時間に撮ることが多いんだ。
わぁ~、ドラマチックになりますね!
こういう明暗差が強いときは、人が暗く写ったとしても、背景を優先に露出を合わせて撮るのもいいと思うよ。一緒に見てる風景をしっかり残せるからね!
自撮りで自分も写ろう!
ところで、家族や友達を撮ってると「自分の写真がない」ってあるあるだよね。
そうですね…。
Z fcはバリアングル式モニターで自撮りしやすいから、せっかくならカメラで自分も写してみてほしいな!
スマホのインカメラのように撮れるんですね。
そう、しかも高画質だよ!
jyotaさんの写真で、2人で風景と一緒に写ってるのがすごく素敵なんですけど、どうやって撮ってるんですか?
三脚とリモートシャッターを使うと、引きで風景と一緒に、自然な雰囲気で撮ることができるんだ。このとき、会話しながら撮影したり、シャッターを切る瞬間をあえて言わないようにするのが自然な表情を撮るコツだよ。
会話しながら撮影
そうなんですね! でも、三脚を持ってないんですよね…。
公園ならベンチの上とか、芝生にバッグを置いてそこにカメラを乗せて撮ることもできるよ。ニコンのアプリ「SnapBridge」を使えば、スマホで写りを確認しながらリモート撮影ができるしね!
そういうワザがあるんですね!
いちばん大切なのは、とにかく楽しい雰囲気で撮ること。お互いに楽しんで撮影することで、その人にしか撮れない写真になると思うよ。
「お互い楽しむ」ですね! まずは話しかけながら撮ってみます。
おしゃべりに夢中になって、シャッターボタンを押し忘れないようにしなきゃな…。
NEXT STEP!
次の被写体は「料理」です。おうちやカフェで、光やアングルを工夫して料理をより美味しそうに撮るポイントを、フォトグラファーのmisuzuさんに教えていただきます。
キャラクターイラスト:福士陽香(@f___haru)
Supported by L&MARK
※機能名は Z fcのものを記載しております。
※一部、上記以外のNikon機材で撮影した写真が含まれております。
jyota tomonori
関西在住の写真家。彼女の写真をメインにしたSNSが人気で、Instagramのフォロワーは4.7万人を超える(2019年4月現在)。彼女のmisuzuさんと一緒に開催している動画講座も人気。