連載企画『写真家と学ぼう! カメラ初心者ガイド』。カメラ初心者のナツキちゃんと一緒に、カメラや撮影の基本を学んでいきましょう!
Step12は「アングル」と「ポジション」です。カメラの角度や位置によって、被写体や背景の写り方が大きく変わります。被写体をより魅力的に撮るための使いわけのポイントを、フォトグラファーの嵐田大志さんに教えていただきましょう。
ナツキちゃん
スマホで写真を撮っていたが、「もっと素敵な写真を撮りたい」とついにカメラを購入。選んだのはAPS-Cサイズのミラーレス「Z fc」と単焦点レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)」。モットーは「とりあえずやってみる」。好奇心旺盛で、少しうっかりやさんな女の子。嵐田大志さん
家族写真や都市風景を中心に撮影するフォトグラファー。3児の父であり、子供の誕生を機に写真にのめりこむ。
足元の花を撮ろうとすると、背景が地面だけになっちゃって。かわいさがイマイチ伝わらないです…。
足元に咲く花を目線の高さから撮影した写真
そんなときは、カメラの「アングル」を変えてみるといいよ。
アングル…?
カメラのアングルを変える
アングルは「カメラの角度」のことで、大きくは3種類にわかれます。
- 水平アングル:カメラを水平に構えた状態
- ハイアングル:カメラを下に向け、上から見下ろす角度
- ローアングル:カメラを上に向け、下から見上げる角度
アングルによって、被写体や背景の見え方が違ってくるんだ。
ほんとだ! 同じ被写体でも印象が変わりますね。
それぞれこんな特徴があるよ。
- 水平アングル:被写体の形を正確に表現しやすく、見たままの自然な印象を伝える。背景も見えているものが写りこむ。
- ハイアングル:空間の広がりを表現しやすい。高さがある被写体では、上が大きく下にいくほど小さく写り、人の場合は顔が大きく写るため表情を際立たせやすい。なお、背景は地面やテーブルなどの写る量が増える。
- ローアングル:高さがある被写体では、下が大きく上にいくほど小さく写り、見上げるほど迫力のある写真になる。なお、外では背景を空のみにもでき、開放感が出る。
アングルによって、写り方の特徴が違うんですね!
…でも、同じ被写体でアングルを変えたい場合、立ってファインダーをのぞいたままでは難しそうですね。
アングルを変えるときは、カメラを構える「ポジション」と組み合わせることが大切なんだ。
ポジション…?
構えるポジションを変える
ポジションは「カメラを構える位置」のことで、大きく3種類にわかれます。
- 水平ポジション:目線の高さの位置にカメラを構える(アイレベルとも言う)
- ハイポジション:目線よりも高い位置にカメラを構える
- ローポジション:目線よりも低い位置にカメラを構える
同じ場所で、水平アングルのままポジションを変えてみたけど、どうかな?
地面が近づくほど、迫力出てきますね!
腕を上げたハイポジションよりしゃがんで撮るローポジションのほうが、視線の高さとの差も大きいから変化をより感じるんじゃないかな。
それに、ローポジションで水たまりを撮ると風景が反射するからおもしろいよ!
ローポジションで水たまりにカメラを近づけると、水面に反射した景色が写ります。
うわぁ素敵! こういうこともできるんですね。
それと、ベランダや展望台といった高い場所から撮るのもハイポジションなんだ。高い場所から下を見ると広がりや開放感を感じるよね。
そっか、腕を上げなくても、自分が高いところに行くのもありなんですね。
そうなんだ!
各ポジションでの写りの特徴については、こうなるよ。
- 水平ポジション(アイレベル):見たままの印象で撮れる。
- ハイポジション:空間の広さや開放感を表現できる。
- ローポジション:奥行きや臨場感を出せる。
これにアングルを組み合わせるとさらに撮影の幅が広がるんだ。例えばテーブルに置いた料理を「ハイアングル」で撮るときに、椅子に座って目線の高さで撮るのと、立って手を伸ばしたハイポジションで撮るのでは、写り方が大きく変わるよ。
左:椅子に座って目線の高さ×ハイアングルで撮影、右:立って腕を伸ばしてハイポジション×ハイアングルで真下に向けて撮影
左は自然な印象で、右は器の形とか盛りつけがわかりやすいですね。
特に高い位置から見下ろすのを「俯瞰」とも言うんだけど、料理では食卓や盛りつけの様子を伝えやすいんだ。
植物をローポジション×ローアングルで撮影
あとは、植物を撮るときなんかは、「ローポジション×ローアングル」で空を背景にすると、被写体を際立たせることができるよ。
足元の花を撮るときは、ポジションを低くしてみたらよかったんですね。
そうだね! 目線以外の高さにする場合は、「ライブビュー撮影」で液晶モニターを動かすと、写りを確認しながら撮影できるよ。
左:ハイポジション、右:ローポジションの構え方
ここでライブビュー撮影が役立つんですね。早速、花を撮るときに試してみます!
NEXT STEP!
次は構図です。被写体をどう配置するとよいのか? イメージに合わせたフレーミングの仕方、バランスがよくなる定番の構図を、フォトグラファーの鎌田風花さんに教えていただきます。
キャラクターイラスト:福士陽香(@f___haru)
Supported by L&MARK
※画面キャプチャ―や機能名は Z fcのものを記載しております。
嵐田大志
本業の傍ら、東京をベースにフォトグラファーとして活動。LightroomやVSCOを活用し、フィルム風の空気感を表現。家族や身近なものを中心にしつつ、頻繁に旅する海外でのスナップを撮り続けている。