連載企画『写真家と学ぼう! カメラ初心者ガイド』。カメラ初心者のナツキちゃんと一緒に、カメラや撮影の基本を学んでいきましょう!
Step7は「ピントの合わせ方」です。フォトグラファーの鎌田風花さんに、狙ったところにピントを合わせる方法と、ピント合わせで役立つモードについて教えていただきます。
ナツキちゃん
スマホで写真を撮っていたが、「もっと素敵な写真を撮りたい」とついにカメラを購入。選んだのはAPS-Cサイズのミラーレス「Z fc」と単焦点レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)」。モットーは「とりあえずやってみる」。好奇心旺盛で、少しうっかりやさんな女の子。鎌田風花さん
ナチュラルな風景や人物写真を得意とするフォトグラファー。家族写真の出張撮影や広告撮影なども行っている。
道で見かけた花を撮ろうと思ってシャッターボタンを押したんですけど、うまく花にピントが合わないんですよ。
主役の花にピントが合っていない写真。
もしかして、シャッターボタンを「半押し」にして、ピントが合ってるかの確認をしてないんじゃない?
…え、半押し?
シャッターボタンを押しこむと写真が撮れるんだけど、その手前の軽く押した状態のことを「半押し」っていうんだ。そうすると、カメラが自動でピントを合わせてくれる「AF(オートフォーカス)」が作動するんだよ。
そんな便利な機能が! 確認せずに、シャッターボタンを思い切り押しこんでました…。
AFのピントの合わせ方
シャッターボタンを半押しすると、カメラが自動でピント合わせを行い、ピントが合った部分にフォーカスポイントが緑色で表示されます。そのままシャッターボタンを押し切ると、その部分にピントがあった写真が撮れます。
※フォーカスモードが「AF-S」もしくは、「AF-A」に設定されていて自動的に「AF-S」が選ばれた場合。
同じものを撮っても、見せたいところにピントが合っているかいないかで、印象が大きく変わるんだよ。この2枚の写真を見てみて。
左:手前の花にピントが合っている写真、右:奥の花にピントが合っている写真
左は花がきれいに見えます! 右は手前のボケが気になっちゃいますね。
そうだね! このときは手前の花を主役にしたかったんだ。ピントは、見てほしい部分を際立たせる大切な役割があるんだよ。
よーし。さっそくAFでいろんなものを撮影してみます!
AFには、被写体が動いているか止まっているかで選ぶ「フォーカスモード」と、ピントを合わせる範囲を決める「AFエリアモード」っていう機能もあるんだ。撮りたいものに合わせて設定すると、よりピント合わせが楽になるよ。
AFにも種類があるんだ…。詳しく教えてください!
AFには被写体に合ったモードがある
まずは、「フォーカスモード」から。止まっている被写体と動いている被写体で、それぞれ得意なモードがあるんだ。
【フォーカスモード】
- 止まっている被写体が得意な「AF-S(シングルAFサーボ)」:シャッターボタンを半押ししている間、被写体にピントを固定してくれる。
- 動いている被写体が得意な「AF-C(コンティニュアスAFサーボ)」:シャッターボタンを半押ししている間、動く被写体にピントを合わせ続けてくれる。
「AF-S」で止まっている被写体を撮る
さっきの花のように動かないものを撮る場合は「AF-S」だね。ピントを合わせたまま、被写体の位置を変えられる「フォーカスロック」っていう機能もあるよ。
フォーカスロック?
フォーカスロックの仕方
左:画面の中央でピントを合わせた状態、右:半押ししてピントを合わせたまま、少し右にカメラを動かした状態
シャッターボタンを半押しして被写体にピントを合わせ、その状態でカメラを少し動かすと、ピントを合わせたまま被写体の位置を調整できます。
私は動かないものに寄った撮影で、構図を微調整したいときに使うことが多いかな。ピントが別のものに移らないから、前ボケを入れたい場合にも便利なんだ。
「AF-C」で動く被写体にピントを合わせる
動いてる被写体にピントを合わせるのは「AF-C」が得意だよ。
「AF-C」に設定して連写。
どの動きにもしっかりピントが合っていますね!
ピントを合わせた被写体をフォーカスポイントが追いかけてくれるから、素早い猫の動きもぴったり写し止められるよ。
これなら、シャッターチャンスを逃しませんね!
2つのモードを説明したけど、実は両方を自動で切り替えてくれる便利な「AF-A」というモードもあるんだ。これに設定しておけば安心だし、スナップとか、いろんな被写体を撮るときにオススメだよ。
動かない花と動く人を、どちらも「AF-A」で撮影。
絶対「AF-A」に設定します!
AFが苦手なシチュエーション
ピントはカメラが自動で合わせてくれるんだけど、実は苦手なものがあるから少し注意しておこうね。
機械にも苦手ってあるんだ~。
例えば、柵やフェンス越しだと手前にあるものを主役と判断してピントを合わせたり、同じようなものが並んでいる状況だと狙った位置に合わないことがあるんだ。
AFで花より手前のフェンスにピントが合ってしまった写真。
え、そういう場合はどうしたらいいですか?
自分でピントを合わせる「MF(マニュアルフォーカス)」というモードがあるから、それを使ってみよう!
MFのピントの合わせ方
ピント位置を調整するレンズのリングを回して、ファインダーや画像モニターを確認しながら主役にピントを合わせます。
ピントが合うとフォーカスポイントが緑色で表示されます。また、左下に「●」が点灯するとピントが合ったサインです。
MFでフェンス奥の花にピントを合わせた写真。
奥の被写体にしっかりピントが合ってますね!
AFでうまく撮れない場合は、MFという選択肢も頭に入れておこう!
カメラの「ピント位置の決め方」を設定する
さっきは「止まってるか・動いてるか」でモードを選んだけど、「画面の中のどこ」でピントを合わせるかも設定できるんだ。
どこでピントを合わせるか…?
「AFエリアモード」っていうんだけど、ピント合わせを行う範囲を決められるんだ。初期設定はカメラが全体から自動でピント位置を決める「オートエリアAF」というモードになってるから、そのままでOKだよ。
やっぱりカメラに任せられるのが安心です~。
オートエリアAFには、「瞳AF」や「動物AF」という機能もあるんだ。これを使うと、人・動物の顔や瞳にピントを合わせてくれるよ。
「瞳AF」「動物AF」では顔や瞳が検出されると、黄色の枠(フォーカスポイント)が表示されます。
左:瞳AFで撮影、右:動物AFで撮影
瞳や顔の位置がわかるなんてすごい!
他によく使うモードは「シングルポイントAF」と「ダイナミックAF」というものがあるよ。
- シングルポイントAF:自分で選んだ1点のフォーカスポイントでピントを合わせる。オートエリアAFよりも細かくピント位置を指定できる。
- ダイナミックAF:選んだフォーカスポイントから被写体がずれても、自動的に周辺のフォーカスポイントでピントを合わせ直してくれる。オートエリアAF・シングルポイントAFではとらえきれない動きにも反応できる。
「シングルポイントAF」は、小物とか動かないものの1点にピントを合わせたいときに便利なんだ。「ダイナミックAF」は被写体を面でとらえるから、動きが予測できないものでも合わせやすいよ。
左:シングルポイントAFで撮影、右:ダイナミックAFで撮影
AFエリアモード、頼りになる!
それから、好きな位置にタッチするだけでピント合わせができる、「タッチAF」も便利だから活用してみてね!
「タッチAF」を使うと、モニターのタッチした場所にピントを合わせられる。
タッチで決められるのはいいですね~!
AFの特徴を知ると、簡単に主役にピントを合わせた写真が撮れるようになるよ。
まずは、うまくピントを合わせられなかった花を撮ってみます!
NEXT STEP!
次は写真の色味についてです。「ホワイトバランス」という機能を使うと、目で見た実際の色味に近づけたり、自分の好きな色味に変えることもできます。引き続きフォトグラファーの鎌田風花さんに、写真の色味調整について教えていただきます。
キャラクターイラスト:福士陽香(@f___haru)
Supported by L&MARK
※画面キャプチャ―や機能名は Z fcのものを記載しております。